広島大学水圏資源生物学研究室のブログです。資源のOB、OG、何かの縁で資源に関わってこられた方に、研究室のイマの様子を時には真面目に、時には面白くお伝えしていきます。
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2009年03月10日 (火) | 編集 |
この世はマンボウでできている。

マンボウは脊椎動物史上最多抱卵数を誇るフグの仲間である。

海がマンボウだらけにならないのは、その分だけ小さな時に他の生き物に捕食されているからだ。

そう考えると、例えば、マンボウ仔魚→マグロ→ヒトなどの食物連鎖が考えられ、食物網の頂点に位置する我々ヒトが食べる大型海産動物は、ルーツを辿るとマンボウに行きつくと言っても過言ではないだろう。

しかし、この魚は研究者泣かせの魚である。デカく、重く、臭い。

それ故、捕獲記録は世界に無数にあるが、形態以外の研究は乏しく基礎生態もよくわかっていない。

そこで今回は愛媛県みかめ・潮彩館で行われた「第二回世界マンボウサミット」に参加し、四国地方のマンボウ情報をいくらか得たので報告する。

【Introduction】

始まりは偶然だった。いや、これは最早必然だったのかもしれない。

3月1日(日)。いつものようにマンボウで検索しながらネットサーフィンをしていたら、愛媛県みかめ・潮彩館で「第二回世界マンボウサミット」が開かれることを知った。

翌日、早速、潮彩館の方に問い合わせてみると、参加してもOKとの話をいただいた。広島からは遠いので、車を誰か出してもらえないだろうかと考えていた矢先、再び潮彩館から電話がかかり、我が水圏資源生物学的研究室の卒業生・相良氏が講師として呼ばれていることを知った。

これを橋本教授に話すと笑いながら「世間は狭いねぇ~」と言い、坂井准教授は「会うなら是非お酒を」と双方とも先生方は卒業したのにも関わらず研究の広報活動をしている相良氏を懐かしそうに高く評価していた。



相良氏は私が現在マンボウ研究ができるようになった始まりの人である。何だか運命的なものを感じ、胸が高鳴った。

初めは一人で行こうと考えていたものの、話してみると後輩の中村氏が車を出してくれるといい、付き添いで金友氏、坪井氏も加わり、計四人でサミットに乗り込むことになった。

【Materials and Methods】

四人でワイワイおしゃべりしたり、時々寝たりを繰り返しながらブーンと車を飛ばして着いたのはサミット一時間前。





早速プールにマンボウがいるのか確認してみる。すると、ちゃんとマンボウはいた。今年は年明けから深海魚が例年以上に打ち上げられるなど海流の状況が変化しており、通常この冬の時期にマンボウが多数漁獲されるはずの四国~九州エリアでの漁獲が少ない。主役無しでのサミット開催が懸念されていたようだが、何とか確保できたみたいだった。



写真ではわかり辛いが、このマンボウは1.2mくらいあり、背鰭が短い奇形だった。

一時間あるから余裕だろうと近くの中華料理屋にいくと・・・少し時間をくってしまい、サミット開始に少し遅れる羽目となってしまった。

【Results】

まずは地元の方々によるお琴の演奏でオープニングセレモニー。


次いで愛媛県・潮彩館×大分県・マリンカルチャーセンター×高知県・足摺海洋館の協定・調印式。


休憩を挟んで、我が研究室卒業生、相良講師によるマンボウクイズ。


最後に地元小学生による感想会にて、サミットは終了した。


今回、サミットへの参加を快諾してくれた菅波氏、講演の話をまとめると、ここ、愛媛県・三瓶(みかめ)町ではマンボウのことを〝バンバラバン〟もしくは単に〝バン〟と呼ぶらしい。三瓶でのマンボウ捕獲は定置網ではなく、巻き網。元々、海の駅として施設を建てる話があったところに、マンボウを飼ってみてはどうだろうかと地元民の声を取り入れ、今のマンボウが泳ぐ道の駅ができたのである。

同地域、足摺海洋館の方に話を聞くと、マンボウは11月~3月に高知県に来遊してくるらしい。高知では冬はマンボウ、夏はヤリマンボウが定置網に入るらしい。水温は16~21℃と温帯や熱帯に分布しているにも関わらず、やや冷水を好むようだと話していた。これは最近の他国での研究結果とも一致する。水族館で飼育されているマンボウは餌を食べずにやせ細るか、餌を食べまくって肥満になるかの二極化される。足摺海洋館ではマンボウの体のシワの具合を見て、餌をあげ過ぎないようにしていると言っていた。

【Discussion】

このサミットは研究報告会ではない。マンボウを地域資源として町おこしをしようとする試みの事例報告会である。第一回目が大分県・マリンカルチャーセンター、第二回目が愛媛県・潮彩館、そして来年は高知県・足摺海洋館に受け継がれた。

〝世界マンボウサミット〟と名付けられたこの催しは、マンボウを通じて世界が協力していこうという想いが込められている。マンボウで世界を繋げる?と聞いて笑われる方もいるかもしれないが、彼らは本気で活気立っていた。

マンボウは古くはローマ時代から壁画に描かれ、日本でも江戸時代以前から記載がある。こうした町おこしの事例がゆくゆくは将来、その地域と密接に結びついたマンボウの民俗へとなっていくのではないかと思う。

マンボウを目玉にする→来場客に地元の品の良さを伝えて商売する→町おこしという視点は、単にマンボウの生態を解き明かしたいだけの研究者としては少し複雑な気持ちがあるが、しかし、地域の情報(来遊時期等)は地元の方が詳しいので、研究者と商業者がうまくお互いを利用して総合的にマンボウのことを深く理解できればいいなと思った。

市場価値は無いと言われることもあるマンボウだが、今回は学術的視点ではなく、商業的視点としてどう扱えるのかについて考えさせられた。

豪華な食事にも招いて頂き、酒の席で話を聞き、マンボウ1つにしてもいろいろな見方ができるのだなと思った。〝気付き〟は大切だと職員の方に教えられ、柔軟な発想で今後の研究に生かしていきたいと思う。


【Acknowledgments】

今回、サミットへの参加を快諾していただいた菅波氏をはじめとする潮彩館の方々、高知県のマンボウの話を聞かせていただいた足摺海洋館の方々、サンプリング時の貴重な写真を提供していただいた相良氏には厚く御礼申し上げる。また、今回忙しい中、車を出していただいた中村氏、交替で運転をしていただいた坪井氏には様々な点でサポートして頂き、深く感謝する。最後に、金友氏にはオチを担当し硬い内容を柔らかくして頂き、感謝する。

このサンプリングに携わったすべての方々に感謝の意を述べる。

                            筆者:澤井



AUTHOR: D2坪井
IP: 133.41.92.139
DATE: 03/10/2009 14:42:38
マンボウサミットお疲れさまでした。
至れり尽くせりの良い思いができたのも、波乗りの達人(ネット限定)である澤井くんのおかげです。
どうもありがとう!!

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